「墓場鬼太郎①」水木しげる 角川文庫

貸本まんがとして描かれたものの復刻版。

この頃(1959)の技法・印刷技術については全くわからないが、収録されたカラーページはポスターのように素敵である。

黒と白の一枚の版画のような一コマに、むしろアメコミの主人公のようなサラリーマンが登場する。

一話目、サラリーマン(血液銀行の調査員)の隣の古寺に幽霊夫婦がやってくる。

その夫婦の間に生まれたのが鬼太郎。

片目の無いその姿の描き方に、この世のものではない怪奇さと共にとぼけたおもしろみが既にあらわれている気がする。

家を追い出されてはケケケと笑い、吸血鬼に放り投げられて地面にぎゅっとなる様子に可愛らしさを感じる。

何も変わらない鬼太郎の世界が既にある。

「蔵六の奇病」日野日出志 リイド文庫

作者のマンガ世界の原点だという6作品が収められている。

なかでも「赤い実のなる踏切」が素晴らしい。

他の作品でも、一コマが一枚の絵としても成り立つくらい丁寧に描かれている(表題作は39ページを完成させるのに丸一年かけたとのこと)が、「赤い実のなる踏切」では絵本のように、1ページが1枚の絵と下に5行程度の文章で構成されている。

廃線となった線路が小川にかかり、踏切とその脇に立つ木造の家、小さな姉弟の姉が赤い実をもらうというやはり童話のような導入部。

踏切のそばの家という特異な風景。

着物に黒髪のおかっぱ、睫毛と唇のつややかな姉の美麗さ。

想像できない筋運び。

独自の不穏さと絵の美しさが際立っている。

身体性

ひとりお湯に沈んで

取り囲む木々をみつめて

話しかけるように

木々は少しずつ揺れ始める

葉ずれの音に同化してゆく

 

冷たい山の空気が額を撫でる

白い朝の光に裸体を晒す

そこには老いて贅肉を垂らした恥は無く(鏡に映した他者)

なにかいいもののような私の体

 

 

自転車を買いに

金曜日・天気は曇り・気温29度・湿度65パーセント。

すごく調子がいい訳でも悪い訳でもなく、少し眠りが浅くて、ゴシップ記事やスナック菓子が欲しくなるくらいの駄目さ加減。

自転車を買いに出かけた。駅前に着いたら18時を過ぎていたから、お金をおろすのに手数料がかかってしまう。自転車屋を2軒回って、無印良品で希望の商品を2割引で購入できたけれど、担当者が不慣れで気持ちよく買い物ができなかった。

がっかりして、とぼとぼと家へ帰る。何で今日にしたんだろう?担当者の選択を誤った。買い物は嫌いだ…。

とぼとぼ歩いているうちに、すごく綺麗なものが見たくなった。商店街で綺麗なものを探す。ウィンドウや通りの人々や並木を見つめる。コンビニエンスストア装苑をじっくり眺める。

すこし軽くなってゆっくりと考え事をしながら帰る。気に入る物を探し歩いて、納得のお値段で、気持ち良く自分の生活に迎え入れるというイメージに囚われていた。イメージから外れると、自分の運や能力の無さが原因のようで、それを認めたくないからがっかりしていらいらするんだ。運が強い・できる自分というイメージにも囚われている。経験者は他業務にもまわるだろうし、不慣れな担当に当たる確立は高い。性格がまっすぐであっただけ良かった方だ。うまくコミュニケーションを取って、時間はかかっても気持ち良く買い物をする方法はあった筈。がっかりした時に素早く状況を受け入れて、対処法を考えるようにしよう。

分析が終わると、心はゆったりとしている。ずいぶん浮上が速くなったものだ。

この心のしなやかさには健康さと余裕が関係している。

お金の為に望まない仕事をしていた頃は、綺麗なものを受け入れることすらできなかったし、嫌な気分になった時は逃避して無かったことにするしかなかった。仕事を辞めて半年はこわばった心身を抱えてぼうっとしていた。少しずつゆるんでいったのだ。

前回の轍をふまえて、体力をつけて余裕を貯金しておくこと。ありのままの世界を受け入れて私の球体の世界を構築していくんだ。

 

情報処理

 アンテナに引っかかったとき、まずその全てを把握し理解してから、自分の言語に置き換え、必要なワードをピックアップし、不要な情報を捨てて、必要な物だけを記述してファイリングしたい。

 これには膨大な時間と集中する為のコンディションが必要な為、できないと判断した場合は、何も手を付けない(着物、茶道等)か、はしっこから順番に見ていって一番最初に引っかかった部分だけ取り入れる(洋服屋、本屋)。

 方法は確立されているし、確実に身になるし、趣味として好きだけれど、多分に優等生的で、本当に望む部分にたどり着くのに時間がかかるし、危機的状況に対応できない。

 コミュニケーション時や感情や危機的状況時の為に別のやり方も身につけるべきだろう。

 他の人はどうしているんだろう?1を見て10を知れると切り捨てているのか、少数以外は何も調べないのか、引っかかったポイントのみでOKにしているのか。