ねむること
わたしはあまり、恋愛というものが必要なタイプではないと思う。
恋愛というか、恋愛相手というか、他者というもの。
好きなこと(読書、絵を描く、お茶を飲む、考えごと…)はひとりでするものばかりだし、小さな頃から将来はひとりで海辺で暮らすものだと考えていた。
予想とは違って結婚した今も、ふたりでテレビを観るより、ひとりで本を読むときに幸福を感じることが多いのは確かだ。
ただ、どうしても、夫が必要なときがある。
それはねむるとき。
ベッドに入って、わたしのほっぺたを夫の肩に(できれば肩の肌に)くっつけると、しみじみと安心してねむることができる。
その安心さは、動物の本能からだと思うような奥の方から感じるのだ。
ねむるとき、意識を手放すとき、無防備さに不安でたまらないのだと思う。
赤ん坊がねむくなると泣くのはこれと同じだろうか。
なので、1人で寝ているときに、夫が酔って、わたしの知らない人を連れて帰ってきたときは、本当につらい気持ちになり、泣いてしまった。
わたしの寝ている空間に知らない人がいるという恐怖。
もう二度としないでほしいと懇願したのであった。