支度

でかける支度が好きじゃない。

そもそも人に会うことが億劫だ。

気を使って話題を探しても盛り上がらず、食事する店を探しても満席だったり期待はずれだったり、疲れて帰ってきて家事や明日の準備をすることを考えて頭と身体が重くなってくる。

現実逃避が苦手なのかもしれない。創作物は好きだから、主人公が自分である場合の現実逃避。

日々の雑事を放置しタイムスケジュールを変更することへの不満を感じる。

急ぐことも苦手。

交通手段を調べて逆算し、身支度と荷物の用意、行く前や帰りに用事を済ませられるか考える。しかし、自分の体調や天候や不意の何かで思うようにならず、早く着きすぎて時間を持て余したり、遅刻して走ったりしなければならない。

唯一、家事を終えてひとりで出かける場合の支度のときは悪くない気分。電車の時間もぎりぎりまで調べずに、鷹揚に出かけるのが望ましい。

ほんとうは、音楽をかけて、お酒をのんだりしながら、口紅をひいたり香水をつけたりする情景に憧れる。

未来に対して気を揉まずに、現実逃避を楽しんで、待つのも走るのもどんとこいな強い気持ちをもちたい。