ガーリックスープ

とても寒く暗い夜だった。道路の脇にはまだ雪が残っていた。

コートのフードを被って、あまり顔を動かさないようにしていたので、視界が狭く余計に暗く感じたのかもしれない。

その中にぽつんと、オレンジがかった赤のちょうちんが見えた。ちょうちんには地中海料理と大きく書かれている。

その店でカウンターの席に並んで座り厨房を見下ろしながら、恋人はまずガーリックスープを頼んだ。

そのスープは赤くて、フランスパンが浮いている。ひとくち飲むとぐっと強いガーリックの風味、その後にシーフードの旨みが広がる。

おいしいね、あったまるねと月並みに言い合いながらスープを飲み、その後パスタや魚のプレートを平らげて、美味しさと量と幸福にぱんぱんになって、夜道を帰った。

それから今もそのお店とガーリックスープが私のいちばんのお気に入りになっている。

恋人が見よう見まねで自宅で作ってくれたこともあった。秘訣は信じられないくらいの量の大蒜とオリーブオイルを使うことだそうだ。