ライフ イズ ストレンジ

主人公はマックスという女子高生。ボブヘアでテイラー・スウィフトに似た顔立ち。内気で校内に友人はあまりいないようだ。写真を専攻していて、自撮りをよくする、おそらくカルチャー好きのオタクと認識されている。

このゲームが気に入ったのは、オレゴン州付近と思われる高校の敷地内にある寮の彼女の部屋に入ってからだ。

実家や都会の一人暮らしや一軒家より、寮の部屋に惹かれるのは何故だろう。

制限されたスペースと規律に従ったなかでより際立つものたち、しかも全て把握できる、すぐに運び出せる量であること。

引き出しの中のひとつひとつまで他者の目にさらされる可能性を秘めている、そのことがある種の清潔さを際立たせているように思う。

ベッドの壁一面に貼られた写真。カルト・ムービーのDVD、アコースティック・ギター、簡素な洋服、PC、母親から贈られた観葉植物。

彼女が部屋に入り、音楽を流すと同時にオープニング・ムービーが始まるのだが、このゲームには彼女の自省とも瞑想ともつかない世界へのグラウディング・タイムがある。町へでかけるバスの中、ダイナーの中、木立と線路にはさまれた廃品置き場に腰掛ける際、ギター・ミュージックが流れ、世界の時計は進んでいき、彼女の横顔に日差しがそそぎ、風がなぞる。

メイン・テーマは選択であり、会話と行動を選び、その場所から出るまでは何度でもやり直しがきくため、そのシーンの結末を自分で決定していき、その選択が寄り集まってラストが決まる。

灯台のある海沿いの町、寮の部屋、青い髪の親友、ダイナーでの食事、廃品置き場の秘密基地、線路を歩くこと、ボーイフレンド、失踪事件の捜査。

自分が生死を決めるような重い選択を何度も迫られるし、マックスの精神も身体も追いつめられ、後悔するような選択もたくさんしてしまった。しかしその選択の積み重ねで自分の人生と世界が積み上げられていく。

それを肯定し引き受ける覚悟ができる、体験でした。