お寺の前庭だけかと思っていたら、左手の狭い通路を抜けて小山の上まで登ることができた。
いちばん奥まったところで、しゃがみこむ。
足元は踏み固められてつるつるした土と木の根っこ。視界は植物と木とその向こうの笹林に囲まれている。
土と落ち葉の匂いを吸い込んで、うっすらと聞こえる車と葉ずれの音を静かに感じて、ぼんやりしてきたら、上を見上げる。
のびあがって放射状に広がっている枝先と無数の葉っぱの曲線をじっと見つめていると、かすかに、そこからだんだんとざわめきだす。
ふうっとそのまま浮き上がるような感覚にまかせて、
しばらくそのままでいた。