ワイン

はじめてきちんとワインを飲んだのは、友人がスーパーで買ってきた赤玉ワインだったと思う。その後自分でも買って、赤はそのまま、白は炭酸で割って飲んだ。その友人とその畳の部屋のイメージもあいまって、ほわんと懐かしいあたたかい味を覚えている。

バーでワインのカクテルを女友達と飲んだりもしたが、少し間があいて、オーストラリアのシラーズを教えてもらってから、ぐいぐい飲むようになる。

がつんと強くて酸っぱくなくてどんどん飲んで飲ませて酔っぱらった。

たくさん笑って、恥をさらして、恋をして、また出会って、色んなワインを飲ませてもらった。

だんだん強いものがのめなくなって、華やかな、香りがつよくて軽いものを少し楽しむくらいになった。

いまも、好きなお酒は?と聞かれたら、ワインと日本酒と答えるけれど、日常ではほとんど飲んでいない。夜になって、ひとがテーブルに集まって、美味しい料理とワインに目をきらきらさせて、食べて飲んで語る、そういう機会は、いまはごく稀にしかないからだ。自分でそう選択した。

あっという間に過ぎ去っていった人たちに、感謝と好意を。

人生の後半に、また新たなテーブルとワインを用意する予定です。そこでまた会う人もいることでしょう。