コート

お洒落な人は、秋冬の重ね着の季節が好きだと聞く。

私はお洒落ではないので、重ね着が苦手だ。

天気予報や予定を考えても、それにぴったりと合う服はないのに、さらにトップスとカーディガンと上着を合わせるなんて。

そして、コート。

いくつかのコートを買って、着て、処分してきたが、ほんとうに満足したコートに巡り会ったためしがない。

小さな頃の真っ赤なコート。中学の頃のベージュのジップアップコート。高校の頃はミリタリージャケット。茶色のコーデュロイのコート。GAPの黒い重いコート。ダウンジャケット。

どれも合わせづらかったり、重ね着できなかったり、逆に太って見えたり、すぐにくたびれたり。

洋服を買う時に、ぱっと欲しいと思うかと安さしか考えないのが原因だと思う。コートを購入するには、ほんとうに上質なものを買う勇気と、条件を満たしているか確認できるクリアな頭と体力が必要なのだ。

乾いた空気と白い光、落ち葉を踏みしめて歩くとき、あたたかくて重すぎない、ここから何年も大丈夫だと思えるお気に入りのコートを着て、自由な気持ちでいたいと思う。