夢をみた

海へとつづく急勾配の街。人の気配があまりしない。

木々は大きくその緑は濃く、晴れているのに暗い。

重い静けさに包まれて酸素濃度が高いような深い空気。

わたしは出勤のため急いで道を下っている。

その道の下にある団地はもう誰も住んでいない。人々はなんとなく避けて立ち入ることをしない。木々の梢にほとんど隠されている。

団地と同じ高さまで下ってきたわたしは、右手に今まで気がつかなかった道を見つける。地形的にこちらに進めば目的地に着けるのではないだろうか?

(夢の中では感覚で気持ち良い方に意思決定しがち)

左手に団地の白い壁とたくさんの小さな窓、右手に木々を、暗い道を進む。

道が大きく左に迂回すると、突然子どもたちが現れた。

よく見ると、団地のすぐ脇の暗がりに池が湧いているのだ。

痩せたからだ、簡素な服の子どもたちが、池に浸ったり、団地の窓に腰掛けたり、木にもたれたりしながら、はしゃぐでもなく、でもどこか楽しそうに群がっていた。