「墓場鬼太郎①」水木しげる 角川文庫

貸本まんがとして描かれたものの復刻版。

この頃(1959)の技法・印刷技術については全くわからないが、収録されたカラーページはポスターのように素敵である。

黒と白の一枚の版画のような一コマに、むしろアメコミの主人公のようなサラリーマンが登場する。

一話目、サラリーマン(血液銀行の調査員)の隣の古寺に幽霊夫婦がやってくる。

その夫婦の間に生まれたのが鬼太郎。

片目の無いその姿の描き方に、この世のものではない怪奇さと共にとぼけたおもしろみが既にあらわれている気がする。

家を追い出されてはケケケと笑い、吸血鬼に放り投げられて地面にぎゅっとなる様子に可愛らしさを感じる。

何も変わらない鬼太郎の世界が既にある。