2013-01-01から1年間の記事一覧

「僕は鳥になりたい」西炯子 小学館文庫

表題作。 特に春先になると ぎしぎしと何かがきしむような音がした それは何かがせめぎ合ってるような音だ そして常にその音は俺の体の中にもあったのだった 東京から離れた男子校。4人部屋の寮に暮らす高校3年生の針間。(受験にはとらわれない、作家志望、…

「BANANA FISH ANOTHER STORY」吉田秋生 小学館文庫

少女まんが家にしてコンクリートの廃墟を描くのが得意とのこと。 大雑把に言ってしまえば、NYのギャング・ストーリー。圧倒的な筋運びの面白さ。 主役のアッシュの魅力。(灰色がかった金髪と怒ると赤い色に見える、悪魔の緑色の瞳。IQ180以上の頭脳。鍛えら…

「ゲゲゲの鬼太郎①」水木しげる 中公文庫

小学校低学年の私は同級生の家で、アニメを観ていた。 記憶によれば、ねずみ男に騙されて鬼太郎が海のバケモノになってしまうという筋書きだったと思う。 何倍もの大きさにふくれあがり、汚い緑色になり、声が出せなくなった鬼太郎。 小舟に乗ったともだちに…

「墓場鬼太郎①」水木しげる 角川文庫

貸本まんがとして描かれたものの復刻版。 この頃(1959)の技法・印刷技術については全くわからないが、収録されたカラーページはポスターのように素敵である。 黒と白の一枚の版画のような一コマに、むしろアメコミの主人公のようなサラリーマンが登場する…

「蔵六の奇病」日野日出志 リイド文庫

作者のマンガ世界の原点だという6作品が収められている。 なかでも「赤い実のなる踏切」が素晴らしい。 他の作品でも、一コマが一枚の絵としても成り立つくらい丁寧に描かれている(表題作は39ページを完成させるのに丸一年かけたとのこと)が、「赤い実のな…

夕闇

暗い夕暮れ 祭囃子が漏れ聞こえる かすかに金木犀のかおりがする 幼い頃幽霊を見上げた ピアノ教室に向かって歩いていた 胸に同じさみしさ

身体性

ひとりお湯に沈んで 取り囲む木々をみつめて 話しかけるように 木々は少しずつ揺れ始める 葉ずれの音に同化してゆく 冷たい山の空気が額を撫でる 白い朝の光に裸体を晒す そこには老いて贅肉を垂らした恥は無く(鏡に映した他者) なにかいいもののような私…

残暑

人気のない正午 青いままでしなびた赤茄子の実 かさついた葉 道路のゴミ袋も乾いて 夏が枯れていく

自転車を買いに

金曜日・天気は曇り・気温29度・湿度65パーセント。 すごく調子がいい訳でも悪い訳でもなく、少し眠りが浅くて、ゴシップ記事やスナック菓子が欲しくなるくらいの駄目さ加減。 自転車を買いに出かけた。駅前に着いたら18時を過ぎていたから、お金をおろすの…

情報処理

アンテナに引っかかったとき、まずその全てを把握し理解してから、自分の言語に置き換え、必要なワードをピックアップし、不要な情報を捨てて、必要な物だけを記述してファイリングしたい。 これには膨大な時間と集中する為のコンディションが必要な為、でき…

住宅街

汗で服が張り付く。 下水の臭いがこみ上げてくる。 生ぬるい風が吹いて 雨を待っている。 望み通り 通り雨の後 大気を洗って 神社の緑が重く黒ずんで 虹を探しながら 家へ帰る。

ガールズルール

ひぐらしの声。草原の向こう、黒い森を背に白く浮き上がる少女達。 なだらかな脛が童話のように遠い。 夜のプール。安い電飾と色の付いた旗。白い頬に水面が揺れる。 笑い声もひそやかに反響している。 固い髪、ひそめる眉、黒い瞳、白い襟、水色の裾、弓 血…