2020-01-01から1年間の記事一覧

work

緑深い木立ちの中、 土と水と大気が流れる。 まっさらになって目を閉じると、 なにも唱えずに、祈りがうっすらと漂う。 背筋を伸ばして、何にもおびやかされない、わたしの輪郭よ。 頭はクリアに、眼は受容して、声はまっすぐに、身体は踊らせて。 素直でい…

AKIRA

池袋に出掛けるときは、いつも慌てているような気がする。 その日の朝の家事が終わってから、プラネタリウムや映画の時間を調べ始めるからだ。 もう前からその日に観ることを決めているのに。 それでも、例えば前日に上映時間とアクセスを調べておいて、逆算…

太陽様

ごく稀に、男性でも女性でも、太陽様だと思う人がいる。 生来のプラスのパワーを放って、押しつけがましくないのに、その場を満たす人。 オレンジ色に笑って、善良で、人間を信じていて、他人のためにきちんと動ける。 健全な思考(欠点があっても、開放的で…

共同幻想

女の子が多分にそうであるように、小さな頃は性に対して潔癖だった。 汚らわしく恥ずかしいことであると、外部からのイメージによって刷り込まれた。 その後になって、様々なバリエーションの情報を得て、 動物の繁殖や、色っぽい美しい女性や、妊娠も含めた…

不倫

多夫多妻が理想だった。 それぞれがお金を稼ぎ、自分の生きたい人生を生きる。 趣味や価値観、生活のだらしなさや人生への真剣味、はたまた性が合う人と共に生きていても、恋をすることを止めなくていい。 わたしのことを一番好き、という状態を永遠に保つこ…

万葉植物園

お寺の前庭だけかと思っていたら、左手の狭い通路を抜けて小山の上まで登ることができた。 いちばん奥まったところで、しゃがみこむ。 足元は踏み固められてつるつるした土と木の根っこ。視界は植物と木とその向こうの笹林に囲まれている。 土と落ち葉の匂い…

外苑前

「フィリップ・パレーノ展」を観にワタリウム美術館へ行く。 外苑前駅を出て、フォルクスワーゲンやベンツの車を横目に、てくてく歩いてゆく。 地図も書いてきたけど、初めてこの辺りに来た大学生の頃やバイト先から夜中に歩いて帰った頃や友達の披露宴にき…