「愛すべき娘たち」よしながふみ 白泉社
女性の視点から、親子関係や社会の抑圧や高潔さの保持を、あらためて独自のセリフで表現し直している連作短編集。
とくに最終話は胸につまるものがある。
嫌な性格にならないように不細工と言い聞かせた祖母とそのため確執の残る母、そのコンプレックスを見守る娘。
心の中にいる、娘時代のわたしの傷を疼かせる。
誰しもが思想を持ったひとりの女性であり、相手を傷つけ続けながら関係していかなくてはならないと、後になってわかるけれど。
どうか、家族の確執が、たとえば理知的に分析・表現化することによって、たとえば何気ないやさしい一言によって、少しでもとけ出しますように。